遺言・相続Q&A

遺産分割について

Q1
遺産の分割はどのようにするのか
まず,被相続人が死亡時に所有していた財産が確定している場合は,相続人間で話し合いし,話し合いがまとまれば遺産分割協議書を作成し,相続財産を分ける。遺産内容が正確に把握できない場合,分かる範囲内で相続財産のリストを作成し,相続人全員が遺産を確定する。その後,相続人間で話し合いし,話し合いがまとまれば遺産分割協議書を作成し,相続財産を分ける。話し合いがまとまらない場合,家庭裁判所の調停・審判手続きをする事ができます。
Q2
遺産分割でもめたとき
遺産分割協議が相続人間で話し合いがつかない場合,家庭裁判所の調停・審判手続きをする事ができます。
Q3
遺産分割で過去にもらったお金などは考慮されないのか
考慮されます。一般的には,特別受益と言います。被相続人が生前に特定の相続人に対し,婚姻,養子縁組のため,もしくは生計の資本として生前贈与や遺贈を受けているときの利益をいいます。
Q4
遺産分割により農地の分散を防ぐにはどうするか
農地を特定の相続人に相続させ,この相続人に他の相続人に対する金銭支払い義務を負わせるという方法があります。
Q5
養子に行った子は実家の遺産をもらえるか
養子縁組には,普通養子縁組(一般養子縁組)と特別養子縁組の2とおりがあります。
普通養子縁組であれば,養子が実親との親子関係を存続しますので,遺産相続ができます。しかし,特別養子縁組であれば,養子となる者と実親との親族関係が消滅するため,遺産相続ができません。
Q6
嫁ぐときの持参金も遺産の額に加算されるのか
嫁ぐときの持参金は,特別受益となります。
生前に被相続人より贈与を受けた相続人を特別受益者と言います。
特別受益者の相続分は,死亡時の財産に生前贈与された財産を加算したものが総遺産となり,これに法定相続分を準じて計算した額から遺贈又は贈与分を差引いた額となります。
Q7
相続人が不明のときの遺産はどうなるのか
家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうよう申し立てをします。
不在者財産管理人は,家庭裁判所の許可を得て他の相続人と遺産分割の協議をすることができます。
また,相続人の生死が7年間不明のとき,親族等は家庭裁判所に失踪宣告(一般失踪宣告)の申し立てをします。
失踪宣告を受けた者は7年間経過したとき死亡したものとみなされます。こうした措置をして,相続人たちは遺産分割を進めることができるわけです。
Q8
両親には不動産等の財産は一切無いことはわかっています。しかし通帳等や保険等で解約をすればいくらかの財産はあるみたいです。しかし現在その詳細が判らず,このままだと子供たちに教えてもらえないままになってしまいそうです。もし,このまま明かされない場合どのように調べたら良いのでしょうか。また,判明した場合,遺言がなければその金員をどのように分配するのでしょうか?
調べる方法として,家の中にあるものから探し出す。
預貯金の調べ方
@ 金融機関の通帳等を探し出す。
A 金融機関からの通知等を探し出す。
B 公共料金等が自動引き落としされていないか。自動引き落としされている場合はその金融機関がどこか。
C @からBで推測される金融機関及び自宅周辺の金融機関に出向き,相続開始日現在の残高証明を取り財産を確認する。
分配について
@ 一次相続 父が先に亡くなった場合。  母 2分の1,子供たちに2分の1となります。
A 二次相続 母がなくなった場合。  子供たちで均等に分配することになります。
Q9
分割協議書に印を押し,相続税も支払ってしまった。再協議できないか?
相続人全員が同意すれば, 分割協議をやり直すことはできます。
 ただし,税金の面で変更した相続分は贈与とみなされ,贈与税を課されることがあります。
Q10
相続には受け取る割合が定められているようですが、必ずその割合で分配しなければいけないのですか?
確かに民法では相続の順位と割合が定めてあります。順位については誰が相続人かを示すもので、勝手に相続人を決めることはできません。しかし割合に関しては必ずしもその割合で相続する必要はなく、相続人間の話し合いで決めればよいのです。ただし話し合いでまとまらない場合は、相続割合を基本に分配することになります。ここで相続の順位と割合を図にしました。
話し合いによって分配方法が決まったら協議書を作成しなければなりません。これを遺産分割協議書といいます。この協議書を作成しなければ実際に財産を受け取る手続きができません。なぜなら協議書は預金をおろしたり不動産の登記を変更したりするのに必要だからです。その他にも戸籍謄本や印鑑証明書などが必要書類となります。
協議書の作成やその後の手続きなど弁護士に依頼するのが良いでしょう。
 ただし、以上の説明は遺言書がない場合の話であり、遺言者がある場合には違ってきますのでご注意ください。
Q11
遺産の中に不動産があり、その相続について相続人間で何度も話し合いをしていますが、それぞれ勝手なことばかり言っていてまとまりません。このような場合どうすればよいですか?
現金であれば分割することは簡単ですが、不動産となるとそれぞれの考え方がありまとまらないことも多いようです。
それは現金と違い簡単に分割することができないからです。もちろん登記名義上それぞれの相続分を持分として登記することは可能ですが、その不動産に今後居住したり管理したりする人にとっては、すべて自分名義にしておきたいと思うでしょう。
一方で居住しない人にとっては自分の持分をいわば貸すことになり、それなら家賃や地代を貰いたいと思う人や売却してお金に換えたいと考える人もいるでしょう。
そのような場合は遺産分割の方法として「換価分割」または「代償分割」という方法があります。換価分割とは、その不動産を売却して売却代金の分配をもって分割する方法です。また代償分割とは特定の相続人が不動産を取得する代わりに、他の相続人に対しその代償として金銭の支払をする方法です。

遺贈(生前贈与)について

Q12
書面によらない内縁の妻への贈与は有効か
贈与契約はとくに書面を要求していませんので,有効です。
Q13
妾の生活維持のためになされた遺贈は有効か
遺贈自体は有効ですが,相続人から遺留分減殺請求をされる可能性はあります。
Q14
生前贈与を受けた物の金銭評価は何時の時点か
相続開始時を基準として評価します。
Q15
相続人の一人に被相続人が生前に財産の一部を贈与しているケース。
被相続人が生前に相続人に贈与した財産を相続財産に加算することができる条件は、@相続開始前の1年間に贈与された財産。Aそれ以前であっても贈与者と贈与を受けた双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与した財産。B特別受益による生前贈与。となります。
特別受益とは相続人が被相続人から特別な利益を受けていたものをいいます。特別な利益とは、事業を始めるときの開業資金や家を建てるために出してもらった資金、私立の医学部への多額な入学資金や留学資金などがこれに該当しますが、単に生活費の援助を受けていただけでは特別受益に該当しません。
つまり特別受益とは相続分の前渡しを受けていたものと解釈すればよいでしょう。計算方法は相続財産に贈与や特別受益の分を加算し、それを相続割合で分けることになります。贈与を受けた人は受け取る財産からすでに受領している贈与分を差し引くことになります。もしも特別受益額が相続分よりも多い場合は相続分を受け取ることが出来ませんが、超過分を返す必要はありません。

遺言について

Q16
遺言書が出てきたとき
遺言書が出てきたときは,すぐに開封せず,家庭裁判所で遺言書の「検認」という手続きを受けなくてはなりません(遺言書が公正証書遺言の場合,検認の手続きは不要です。)。
遺言者は生きている間に自分の財産を自由に処分する事を決められます。故に,正式な遺言書が存在する場合は,遺言書に書かれている内容どおり法的な効力が発生します。
また,直系卑属(子など),直系尊属(親など),および配偶者は,遺言等によって相続財産などを侵害された場合に回復の請求をすることができる。それを「遺留分減殺請求」といいます。
Q17
同じ人の遺言書が二通出てきたときはどうするのか
二つの遺言書が発見された場合には,日付の新しいものが有効となり,日付の古いものは無効となります。
Q18
遺言を残したとき
遺言者の死亡と同時に遺言の効力は生じるとし,遺言書に書かれている内容どおりに分ける。
Q19
遺言をするにはどうするのか
民法が定める遺言の方式には,普通方式と特別方式があるが,一般的には普通方式が大半であるので普通方式を説明します。自筆証書遺言の作り方自筆証書遺言には,遺言の全文,日付,署名を遺言者本人が行います。筆跡で本人が書いたと判定するので,代筆や,コピー,ワープロはいけません。遺言書には押印(認印・実印・拇印でも可)が必要です。用紙に決まりはなく,半紙に書いても,画用紙に描いても,チラシの裏でも必要な項目そろっていれば,有効な遺言となります。家庭裁判所での検認手続が必要になります。
遺言書の検認手続きとは,遺言の存在の確認手続きです。
家庭裁判所で偽造・変造防止の確認のために行います。遺言の有効・無効を判断するものではありません。
1  自筆証書遺言の作り方自筆証書遺言には,遺言の全文,日付,署名を遺言者本人が行います。筆跡で本人が書いたと判定するので,代筆や,コピー,ワープロはいけません。遺言書には押印(認印・実印・拇印でも可)が必要です。用紙に決まりはなく,半紙に書いても,画用紙に描いても,チラシの裏でも必要な項目そろっていれば,有効な遺言となります。家庭裁判所での検認手続が必要になります。
遺言書の検認手続きとは,遺言の存在の確認手続きです。
家庭裁判所で偽造・変造防止の確認のために行います。遺言の有効・無効を判断するものではありません。
2  公正証書遺言の作り方
公正証書遺言を作るには二人以上の証人の立ち会いのもと,遺言の内容を公証人に話し,公証人が遺言の内容を公文書として残すことにより作成する遺言です。よって二人以上の証人が必要です。証人は公証人が紹介もしてくれます。
事前に,遺言の内容を記載しておくとよいでしょう。印鑑証明書,戸籍謄本・除籍謄本,預金通帳,そのほか相続させるもの,相続させる人との関係によって,必要な書類が異なります。
また,遺言内容を実行する人(遺言執行者)を決めておくとスムースです。執行者は,未成年者,推定相続人,受遺者及びその配偶者・直系血族,公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・雇人未成年者及び破産者以外なら,証人・相続人・受遺者でも指定できますが遺言執行者の負担は大変大きなものですので指名の際にはその負担も考えるべきでしょう。当事務所ではご依頼があれば弁護士が遺言執行者となりあなたの遺言を執行します。
3  秘密証書遺言の作り方
秘密証書遺言とは,遺言者が遺言を書いてそれを封入し,封印し公証役場で公証人に確認してもらう遺言書です。遺言内容を他人が見せずにすみ,内容を知られる心配がありません。しかし封をしてしまうのでいざ開封となったときに有効ではない遺言書の形式であった不備があった,ということが心配されます。また,遺言者自身で保管するため,紛失なども気がかりです。他の手続きより少し手間が多い分費用がかかります。秘密証書遺言は,自筆証書遺言同様に,家庭裁判所での検認手続が必要になります。
Q20
未成年者が遺言をするときの注意点はなにか
未成年者でも十五歳に達した者は,遺言をすることができます。
「遺言をするにはどうするのか」の回答を参考にして作成して下さい。
Q21
遺言書を破り捨てると何か罪に問われるのか
相続人が破り捨てた場合,相続人の欠格事由に相当し相続人となることができません。民法では,「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し,変造し,破棄し,又は隠匿した者」は相続人となることができないとしています。
しかし,欠格者を除いて遺産分割をすると,後で遺産分割無効などの紛争となりますので,家庭裁判所で遺産分割の調停(相続欠格者であること裁判所で認めてもらう)をすることをおすすめします。
Q22
公正証書による遺言が無効となる場合があるか
公正証書遺言といっても絶対ではなく,無効となるケースがない訳ではありません。
公正証書遺言についての有効・無効が争われるのはほとんどの場合,遺言能力(重度の痴呆状態等)があるかどうかといえます。
つまり遺言によって生じる効果について判断が出来ないような場合,遺言が無効とされことがあります。
Q23
遺言でした死因贈与契約は取り消せるか
遺言という書面による贈与ですから,取り消すことはできません。
ただ,遺言は最新のものが有効となりますから,贈与者が最新の遺言によって取り消すことは可能です。
Q24
遺言で相続財産の一部について分割の指定ができるか
他の相続財産について改めて遺産分割をすればよいですから,特に,一部の財産の分割指定ができないというわけではありません。
遺言執行者がある場合には相続人の反対があっても遺言内容が執行されます。
ただ,遺言執行者がない場合,相続人全員の同意があれば遺言と異なる遺産分割も可能ですから,相続財産の脱漏がある分割の指定は,覆される可能性もあります。
Q25
遺品を整理していたら遺言書を見つけた場合
このような場合公正証書遺言を除き勝手に開封してはいけません。自筆証書遺言、秘密証書遺言の開封には家庭裁判所において相続人または代理人の立会いの下開封しなければなりません。これが検認手続きです。
裁判所の検認を受けると検認調書が作成され検認に立ち会えなかった相続人には検認されたことが通知されます。
検認手続きは遺言書の存在と遺言書の内容を相続人に知らせることと、遺言書の偽造を防止するのが目的です。よって遺言書の内容について有効無効を判断するものではありません。
尚、公正証書遺言の場合は偽造や変造の恐れがないため検認手続きは必要ありません。
Q26
遺言書に自分の名前が書かれていなかった場合は?
遺言書に自分の名前が書かれていない場合で自分が相続人である場合は、遺留分といって法律で定められた範囲の財産を受け取る権利があります。
遺留分は法定相続分の1/2となります。ただし相続人が兄弟姉妹の場合には遺留分はありません。また遺留分の請求には時効があるので気をつけなければなりません。

相続について

Q27
特定の人に相続させたいとき
遺言書を作成することで自分の財産を誰に相続させるか決めることができますので,遺言書に内容を明記することで相続させることができます。
Q28
親不孝息子に相続させたくない方法はないか
遺言書を作成することで自分の財産を誰に相続させるか決めることができますので,遺言書に相続人である親不孝息子を除く相続人に財産を相続させることを明記することにより,親不孝息子は相続財産がもらえなくなります。
また事前に相続人である親不孝息子から遺留分の減殺請求が出ることもありますので,家庭裁判所に遺留分放棄の申立をさせ,許可を受けておくことです。
Q29
胎児には相続する権利は全くないのか
民法(第886条)では,胎児は,相続については,既に生まれたものとみなす。但し,胎児が死産の場合は適用されません。
Q30
相続人を廃除したい
被相続人の意思で,相続人を相続人から外す事ができる。
被相続人が生前に家庭裁判所に申立てをするか,または遺言によって,被相続人が廃除の意思表示をしていれば,上記手続きを遺言執行者が行う。
Q31
後妻と亡夫の兄弟が相続争いとなったがどうなるか
法(民法900条)にしたがい相続人に相続分を分けることになります。
前妻に子供がいない,亡夫の両親がいない,後妻に子供がいない場合,後妻に4分の3,兄弟姉妹に4分の1の相続となります。
Q32
長男だけに土地を相続させたい
その場合,遺言書を作成することで長男に相続させることができる。
但し,遺言の内容によっては,ほかの相続人から遺留分の減殺請求が出ることもあるので注意が必要。
Q33
父の死亡で保証人の地位も承継するのか
相続は,財産上の権利義務を包括的に承継するものですから,連帯保証人としての地位も原則として承継されます。
Q34
内縁の妻には相続権は全くないのか
内縁の妻には,相続権は全くありません。
したがって,財産を承継させる場合は,遺言書等によって死因贈与することになります。
Q35
父の死亡後も子供は借家を使えるか
借地権・借家権も相続財産ですから相続の対象となります。
相続人であれば,借家を使用する事ができます。
Q36
両親と同居している長男が両親の財産を管理していて他の兄弟は財産がいくらあるのか全くわかりません。長男のいいようにされてしまいそうです。私を含め他の兄弟はどうしたら良いでしょうか?
いずれにせよ,遺産分割協議等が成立するまでに遺産の範囲を確定しておく必要があります。
遺産の範囲が確定について当事者の合意が得られなければ,訴訟手続きによって遺産の範囲を確定することになります。
Q37
自分が知らないうちに父がなくなり,知らない間に相続手続きが終了してしまっていた場合,相続人として相続相当の金員などを相続人に請求することは出来るのか。
相続放棄は,「自己のために相続の開始があったことを知ったときから」3箇月以内に家庭裁判所に申述することによってはじめて効果が発生するものですから,あなたが知らない間に相続手続きが完了してしまっても,あなたの相続分がなくなるわけではありません。
したがいまして,上記の請求は可能です。
Q38
海外在住の日本人です。日本及び海外両国で認知している子供(非嫡出子)がいます。日本には別居中の妻もいますが離婚には応じません。遺産を相続させたいがどのようにしたらいいか。また,子供が未成年ですので母親を相続代理人として遺言書に指名できますか。
確実を期するため公正役場で公正証書による遺言をされた方が良いでしょう。
未成年者は父親が死亡した場合でも実母は親権者として法定代理権を有しています。
Q39
妻の不貞により,相手の妻より損害賠償の訴訟があり,その費用を妻への遺産相続金より支払いたくない。妻への遺産相続分を子供へ全額転換したい。
妻と離婚の届出をすれば,別れた妻には相続権がない。
妻と結婚を続けている場合は,遺言書を作り子供に全部の遺産を相続させるよう書いておく。但し,この場合でも妻が遺留分を請求すると4分の1までは妻が取り返せる。
よって,今回損害賠償として支払う金額については,生前贈与として上記4分の1は生前贈与として渡してあるものとする。
Q40
相続を相続人の一人が取り仕切っているが、不透明な部分が多く信用できない。
相続にあたっては相続人の誰かが先頭に立って取り仕切る方がまとまりやすくスムーズにいく場合もあります。しかしそれは信頼関係があってこそのことです。しかし信頼関係があっても相続ではそれぞれの思いや考えがぶつかり、結果まとまらないばかりか信頼関係までも損なうこともあります。
そこで争いがあるからではなく争わないためにも弁護士に相談しながら進めるか、預金の凍結、財産の調査、相続の分配方法、それに伴う協議書の作成などのすべてを弁護士に依頼した方がスムーズにいく事が多いかもしれません。
Q41
父がなくなりました。父は自宅以外に不動産があるといっていたのですが、その不動産の権利証が見当たりません。また所在もわかりません。どうしたらよいですか?
被相続人の不動産を調査するには「権利証」や「登記識別情報」があればよいのですが、それらが見当たらない場合は「固定資産税の納付書」も探してみてください。納付書が見つかれば市役所で被相続人が所有していた不動産がわかります。
もしもそれらすべてが存在しない場合でも死亡届を出すことにより、固定資産税の請求先が相続人になり、いずれその請求書が相続人宛に届きます。ただし固定資産税の請求は滞納がない限り1年に1回となっているため、時期を待たなければなりません。そこでどうしても急がなければならない時は、お父様のこれまでの住所地はもちろんのこと、よく出かけていた場所などを思い出して、その地区を管轄する市町村役場に固定資産税納付の有無を調べてもらう方法もあります。
ただしすべての市町村役場が対応してもらえるとは言えず、その場合はやはり請求を待たなければなりません。不動産の名義人や抵当権などはご自身で調べることも可能ですが、やはり専門家である弁護士や司法書士に依頼するのが良いでしょう。弁護士や司法書士は「登記情報提供サービス」というインターネットで調べられるシステムを導入しているところも多いはずです。

相続放棄について

Q42
相続放棄をしたら生命保険はどうなる
まず,生命保険の受取人が誰になっているか。
受取人が被相続人(亡くなった本人)か,または相続人(受取人を妻等の相続人に指定している場合)になっているか
受取人が被相続人の場合 生命保険金も相続財産の一部となり,相続放棄をした場合には,生命保険金を受け取ることはできません。
受取人が相続人の場合 保険金の受取人を妻に指定していたような場合,妻は生命保険契約の効果として生命保険金を受け取ることになります。
  
Q43
親の残した借金も相続しなければならないか
相続財産には,プラスの財産(宅地,農地,山林,借地権,借家権,家屋(不動産),貯蓄金等)とマイナスの財産(借金,損害賠償金等)があります。
財産が借金のみの場合,相続する必要はありません。
この場合,家庭裁判所に相続放棄の手続きを行います。
Q44
被相続人に借金があった場合はどうすれば良いの?
被相続人に借金があった場合は、亡くなられてから3ヶ月もしくは借金があったことを知ってから3ヶ月以内に、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄手続きをすれば支払義務は生じません。
しかし相続放棄をすることですべての財産を受け取ることが出来なくなります。
相続が開始され、預貯金や不動産などプラスになる財産だけであれば問題なく相続し、逆に借金などのマイナスになる財産だけであれば相続放棄手続きをすれば良いでしょう。しかしプラスとマイナスがありすぐに判断できない場合があります。そのような時は被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄手続きの期間延長の申立を行い、その間に相続するか放棄するかの判断をすることができます。またそれでも被相続人の債務がどの程度あるか不明で判断ができない場合は、限定承認手続きといってプラスの財産の分を限度として債務の負担を受け継ぐという手続きがあります。
期限内に相続放棄手続きまたは限定承認手続きなどを行なわない場合は、単純承認といって無条件ですべての財産を引き継ぐことになります。
Q45
私の父は健在なのですが、父は多額の借金があるようなので、父が亡くなっても相続したくありません。今相続放棄することはできますか?
相続放棄は相続が開始されてからでなければ手続きをすることはできません。この場合はお父様が亡くなられてから3ヶ月以内にお父様の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申立を行うことになります。しかしもしもお父様に不動産などのプラスの財産があった場合は、その不動産も放棄することになります。
お父様の借金の額や現時点の収入や生活状況にもよりますが、ご健在のうちに弁護士に依頼して債務整理などで借金をなくしておくことをお勧めします。
ただし借金を返しきれないことがわかっていて不動産を贈与することは詐害行為に該当する恐れがありますので気をつけなければなりません。

相続財産について

Q46
香典や弔慰金は相続財産に入るか
香典は,葬儀の主宰者である喪主に対して送られたものであり葬儀費用に充てるべきもので,葬儀などの際に故人の供養のため,または遺族の葬儀費用の負担を軽くするための社会生活上の相互扶助という意味があります。
香典や弔慰金は相続財産には含まれません。
Q47
夫の遺産を妻が相続できる分はどれくらい
相続人の範囲で相続できる分が違ってきます。
夫婦に子供がいる場合,子供はいないが夫の両親がいる場合,あるいは子供および両親がいないが兄弟姉妹がいる場合。
第一順位 配偶者と子 配偶者 2分の1 子 2分の1
第二順位 配偶者と親  配偶者 3分の2 親 3分の1
第三順位 配偶者と兄弟姉妹 配偶者 4分の3 兄弟姉妹 4分の1
Q48
遺産分割の際の相続順位や分け方はどうするのか
分割事由の原則があり,当事者全員の合意があれば法定相続分や指定相続分に合致しない分割,被相続人の指定する分割方法に反する分割も有効です。
Q49
夫と父が同時に死亡のとき妻の相続分はどうなるのか
父とは妻からみて義父であれば,亡くなられた時刻が問題となります。
民法(32条の2)では,「数人の者が死亡した場合において,そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは,これらの者は,同時に死亡したものと推定する。」とあり,死亡時刻が不明な場合同時死亡と推定され,推定される夫は,父(妻にとって義理の祖父)の財産を相続することはできません。よって,妻の財産は夫の財産だけとなります。
Q50
内縁の妻は借家権の相続を主張できないのか
内縁の妻には相続権がありませんので,相続の対象となる借家権を相続する事ができません。
しかし,借地借家法では,居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において,その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが,建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは,その同居者は,建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし,相続人なしに死亡したことを知った後1月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは,この限りでない。としている。
Q51
連れ子や愛人の子には相続権はないのか
連れ子には相続権はありません。ただし婚姻後に養子縁組をしている場合には相続権が発生します。
愛人の子にも相続権はありません。ただし,愛人の子を認知している場合は相続権が発生します。
Q52
父が亡くなりました。母は既に他界しています。子供は私,娘一人です。相続の手続きはしていませんが,父所有の土地建物を処分したいのですが,売却するにあたりご意見をお聞かせ下さい。
@ 土地建物の登記簿謄本を取って担保権が(抵当権等)の有無を調べて下さい。土地建物の固定資産評価証明書を用意しておいて下さい。
A 次に土地建物の相続手続をして下さい。文面ではあなた一人が子として相続人と思われます。念のため父の出生時から死亡に至るまでの戸籍謄本も取って確認して下さい
B 売却にあたって,あなたの売値がいくらか調べて決めておいた方が良いでしょう。
C 売買手続を不動産業者に依頼する場合,専任媒介契約かどうかについても,どちらがよいか注意して下さい。
D 最後に売買代金を全部受領してから所有権移転登記手続をすること。
E 税金(譲渡所得税や相続税)も検討のこと
Q53
預貯金や口座の存在を調べる方法はありますか?
預貯金の調査は被相続人の預金通帳があれば可能です。また通帳がなくてもキャッシュカードやATMの明細書など金融機関がわかれば「預金残高証明書」を発行してもらえます。
ただしそれらの書類がなく口座の有無を確認するには被相続人の住所地はもちろんのこと、これまでの居住地の近くにある金融機関名を調べ、口座の有無を確認する方法があります。相続人であれば被相続人との関係を証明する戸籍謄本や身分証明書などがあれば確認もできますが、弁護士に依頼して調査してもらうことが良いでしょう。
Q54
亡くなった父にどうやら借金があったようで、でも詳細がわかりません。どうしたらよいですか?
お父さんに借金があることが判明し、プラスとなる預貯金や不動産などの財産が存在しない場合は、3ヶ月以内に「相続放棄手続」をすることで相続人が支払う義務がなくなります。一方で借金もあるが不動産や預貯金もあるような場合は「相続放棄手続」をしてしまうと借金の支払はなくなりますがプラスの財産も放棄してしまうことになります。
そこでまず借金の調査をする必要があります。先ずはお父さんの通帳の引き落としや振込みを確認し、それと持ち物や部屋などにカードや請求書、契約書やメモなどがないか確認します。加えて「信用情報機関」から信用情報の詳細を取り寄せます。信用情報には現在の借入先や5年前までに完済したところなどの情報が載っているので、そこに記載されている債権者に対し取引の明細や残高などを照会します。
また亡くなったことで返済が遅滞することにより、貸金業者から督促の電話や手紙がくることもあります。このようにしておおよその借金は判明しますが、個人からの借り入れや連帯保証人になっていた場合はその時点ではわからない場合もあります。しかも「相続放棄手続」は3ヶ月以内となっていて時間の問題もあります。
そこでこのような場合は、この3ヶ月の熟慮期間の伸長を申立てることも必要ですが、「限定承認手続」といってプラスの相続財産の範囲までしか借金の支払義務を負わないことにする手続きもあります。
Q55
父がなくなり母と私と兄が相続人となりました。父には家や預金の遺産があり、生前自分が死んだら遺産は母に相続させると言っていたので、私としてはそのようにしたいと考え遺産分割協議書を作成したいのですが、兄は数年前から音信不通で何処にいるのかもわからず生きているのか死んでいるのかさえわかりません。どうすれば遺産分割協議ができますか?
このようなケースは珍しいことではありません。たとえ親子や兄弟であっても交流もなく連絡を取ることもなくなり、そのうち引越しや転職などで居場所がわからなくなってしまうようです。
もしも相続人の誰かが音信不通で協議ができなくても、法的には法定相続割合での分配であればその割合分だけは受け取ったり登記したりすることは可能ですが、遺言書もなく法定割合でない分配をする場合はやはり分割協議書が必要で、それには相続人の一人であるお兄さんがいなければ作成できず遺産を分配することはできません。
このような場合は方法としては三つ考えられ、まず
@お兄さんの住民票を取り寄せ移転先を探すことです。
また知人や以前勤めていた会社の同僚に連絡先などを聞いてみることも必要です。ほとんどのケースではお兄さんに連絡をつけることができるでしょう。
Aは@でも連絡が取れず、お兄さんが生死不明になってから7年以上経過していれば、家庭裁判所に失踪宣告の審判の申立を行い、容認されれば期間満了日に死亡したとみなされ、被相続人の死亡日と期間満了日との後先によっては数次相続(これは、父と兄の2回の相続が行われることを意味します)となりますが、結果それにより他の相続人で遺産分割協議書を作成することができます。
Bはお兄さんの生死不明が7年未満であったり、失踪宣告の審判を受けるのは避けたかったりした場合は、家庭裁判所にお兄さんの不在者財産管理人の選任の申立を行い、選任されればその不在者財産管理人がお兄さんの財産の管理や保存などを行い、家庭裁判所の権限外行為の許可を得た上で、お兄さんに代わって遺産の分割協議を行うことができます。裁判所では職権で雇用保険などの社会保険の加入経緯を照会し、不明者の存在を確認する場合もあるようです。
Q56
先日夫が亡くなりました。夫とは籍は入っていませんが30年以上夫婦として一緒に暮らしてきました。夫には昔離婚した妻との間にできた子供がいて、その子供から婚姻の届けが出ていない以上内縁関係であり、相続人でない以上財産を渡す必要はないと言ってきました。私は夫の財産を一切貰うことはできないのでしょうか?
婚姻の届けが出ていない内縁関係の場合は、法律上夫婦とは認められません。したがって残念ながら内縁配偶者には相続権はありません。ただしその遺産が被相続人と内縁配偶者が共同して築いた実質的共有財産であると認められた場合は、内縁配偶者の共有持分権として財産を受け取れる可能性があります。
しかし承認を得るには実質的共有財産であることを証明しなればならず、それは法律上の夫婦とは違い長年一緒に暮らしていたことは理由になりません。
共有財産と認められる可能性があるのは、共同して家業を営んでいて、その収益で共同生活の経済的基礎を構成する財産が作られたと認められる場合や、夫婦共働きで双方の収入を生活費として充てた上、その余りを夫名義の預金にしていたことが立証できる場合などです。しかも相続人との間で話し合いができれば良いですが、それが難しい場合は家庭裁判所に一般調停を申し立てるか訴訟を起こさなければなりません。
一方で、内縁関係でもすべて夫婦として認められないわけではありません。婚姻届けは出ていなくても長年夫婦として協力して生活してきた点は内縁関係でも婚姻関係と異なるもではなく、準婚姻関係として遺族年金や遺族補償などの社会保障に関しては、法律上の配偶者と同等の保護が受けられます。
Q57
先日母が亡くなりました。父はすでに他界していて相続人は私と兄の二人です。母にはこれといった財産はなく、兄が受取人となっている5000万円の生命保険があるだけです。私はその半分を受け取れますか?
生命保険の死亡保険金受取人がお兄様になっている以上、それは受取人固有の財産となります。したがって相続財産と異なりあなたは受け取ることが出来ません。
ただし保険金受取人の相続人と他の相続人との間に生ずる不公平が到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情がある場合には、その死亡保険金は特別受益として持戻しの対象となることもあるようです。尚、特別受益として認められたとしても、その額がどこまで対象になるかについては諸説あるようです。

寄与分について

Q58
財産の蓄積や保全に特別に寄与した者の相続分はどうなるか
この寄与者がいる場合,相続財産の中から寄与分(具体的な金額等は相続人同士の話し合いです。)を差し引いた残額を相続財産とみなし,相続人間でそれぞれの相続財産を取得し,寄与者は寄与分を加え相続財産を取得することになります。
寄与分について,お互いが譲らず,納得がいかない時は,家庭裁判所の調停で解決します。
Q59
親を扶養した子に遺産を多く残したいがどうすればいいか
寄与分について認めるかどうかは,相続人全員の協議で決めます。
相続人間で決まられなければ,家庭裁判所に遺産分割の調停を申立,その中で決めていくことになります。
上記のような面倒なことをせず,遺言で寄与者に相続財産の増額の指定する事ができます。
したがって未成年の娘の遺産相続手続も原則として法定代理人である親権者が行使できます。
Q60
被相続人の病気を看病していたので他の相続人より多く遺産をもらいたい。
これは寄与分の請求ということです。寄与分とは、相続人の中に被相続人の財産の維持や増加に特別な働きをした者に、その働きの評価額を相続財産から寄与することです。
計算方法としては相続財産から寄与分を控除したものを相続財産とみなして相続を行い、寄与者はその控除分を取得することになります。どのようなことが特別な働き、言わば寄与となるかというと、
@被相続人の事業を手伝ったことで財産を増やしたり維持することができた。
A被相続人に対し金員を給付するなど援助をした。
B被相続人の療養看護および生活費の給付をしたことにより被相続人の財産を維持することができた。
などがあげられます。
この寄与の金銭的評価額は相続人間で協議し決定することになりますが、寄与の存在や評価など話し合いがつかない場合は家庭裁判所に審判を求めることができます。

遺留分について

Q61
遺留分減殺請求で価額弁償の評価時はいつか
遺留分算定の基礎となる財産を評価する基準時は,相続開始時とするのが判例です。

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